かつての高圧ガスの利用法といえば、燃料としての液化石油ガスや産業用の酸素が主なものでした。しかしながら、現在では高圧ガスは私達の日常生活のすみずみまで利用され、その快適性は高圧ガスを抜きにしては考えられないといっても過言ではありません。住居の冷暖房や燃料、食品の保存、飲料、金属の溶接、化学製品や電子部品の生産、レジャー、医療にとその用途は数えきれないほどあります。一方で高圧ガスはその言葉が示すように、高圧であるが故の危険性を内包しており、この利便性と危険性は常に隣り合わせです。
そのため、高圧ガスによる事故や災害を防ぐために国が法律や規則(法令)によって設備や取扱いの基準を細かく決めて、これを高圧ガスを取扱う者に守らせなければ危険性を封じ込めることができないとして、大正11年に「圧縮瓦斯及液化瓦斯取締法」が公布され、戦後、様々な法改正を経て「高圧ガス取締法」から現在の「高圧ガス保安法」に至っています。 前述のように、現在では高圧ガスの種類や形態、利用の方法は「圧縮瓦斯及液化瓦斯取締法」はもちろん、「高圧ガス取締法」が施行されたときすら、比較にならないほど多岐にわたっています。 このような状況のもとでは、高圧ガスによる事故や災害を防ぐためには、国(行政)が一律的に細部まで規制するよりも、これを取扱う者が自らの責任と判断で必要な対策を行なう方がより効果的であるとして、「高圧ガス取締法」が改正され、平成9年4月、「高圧ガス保安法」が施行されました。すなわち、国は基本的な基準を作り、これを基に、細部の基準は高圧ガスを取扱う者が、安全の確保にとって必要で効果的な方法を自主的に判断して採用することにより、高圧ガスの事故や災害を防止するとの考え方が採用されました。現在もこの考え方に沿って法令の運用が行われています。 これまでにおいても、高圧ガスの保安は法令を守ることだけで確保されてきたものではありません。事業者においては、法令の基準の確保だけでなく、様々な方法で安全対策が自主的にすすめられ、高圧ガスの保安の向上が図られてきました。大阪府でも、事業者に対して法令基準の遵守を求めるだけでなく、高圧ガスを取扱う者としての自主的な保安活動の積極的な推進が法規制との車の両論として位置づけ、相互に欠くべからざるものであるとしてきました。「高圧ガス保安法」は、自主保安活動を重視し高圧ガスの保安を確保するうえでの中心として位置づけ、事業者に自主保安活動を単に推進するだけでなく、不断の見直しや内容の充実を図ることが求められています。 大阪府では、平成12年に事業者が自主保安活動の計画を作成したり、実施する場合の参考としていただくため、「高圧ガス自主保安活動のガイドライン」を作成しました。作成から10年以上の時間も流れ、この間の法令改正を反映した内容とすべくガイドラインの改訂を行うこととしました。 この小冊子が、高圧ガスの事業にたずさわるみなさんの自主保安活動の一層の充実、発展のための一助となれば幸いです。 |